IMF、解体。支援ゼロで挑む、史上最凶の極秘ミッション。

MISSION:核戦争を未然に防げ!追われるスパイの孤独な逆転劇
ロシア・モスクワ。IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)のエージェントハナウェイが、“コバルト”と呼ばれる謎の人物に関する極秘ファイルの奪還任務中、女暗殺者サビーヌ・モロー(レア・セドゥ)により殺害される。
一方その頃、**イーサン・ハント(トム・クルーズ)はロシアの刑務所に投獄されていた。だが、IMFチームのジェーン・カーター(ポーラ・パットン)と、技術担当から現場エージェントに昇格したベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)**の手引きにより脱出。ハナウェイの死を受け、イーサンがミッションを引き継ぐ。
任務は、クレムリンに侵入し、コバルトの正体と核ミサイル発射コードに関する情報を入手すること——だが、作戦は失敗。直後にクレムリンが爆破され、イーサンはその犯人に仕立て上げられる。
国家は関与を否定し、米国大統領は「ゴースト・プロトコル(存在を抹消された任務)」を発動。IMFは解体、支援ゼロの中、イーサンたちは独自に事件の黒幕・“コバルト”の追跡を開始する。
登場人物相関図(主要キャスト)
- イーサン・ハント(トム・クルーズ)
今やIMFを背負う男。今回は政府の庇護すら得られず、完全に「孤立無援」で挑むミッションに挑む。 - ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)
国家安全保障局からIMFに配属された分析官。過去にイーサンと深く関わりが…? - ベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)
おなじみのハッカー。今作から現場エージェントとしても奮闘。お調子者ながら頼れる存在に。 - ジェーン・カーター(ポーラ・パットン)
任務中に恋人のハナウェイを失ったIMFエージェント。復讐心と使命感に突き動かされる。 - カート・ヘンドリクス(ミカエル・ニクヴィスト)
別名“コバルト”。スウェーデン出身の物理学者で、冷戦時代の妄想に取り憑かれた狂信的テロリスト。

見どころ1:ブルジュ・ハリファの壁面アクション——常識破りのリアルスタント
やはり本作の目玉は、世界一の高層ビル**ドバイのブルジュ・ハリファ(828m)**の壁面を、トム・クルーズ本人がスタントなしで垂直に走り降りるアクション。
このビルは世界最高層であり、実際の現地撮影。安全装置こそあれ、トム自身が建物の外壁にぶら下がり、反り返るような窓拭きアームを使って壁を“走る”という超人技が炸裂。
高所恐怖症でなくとも手に汗握るこのシーンは、シリーズの代名詞となったリアルスタントの最高峰ともいえる。
撮影中、ヘリの到着が遅れたため、クルーズが数十分間宙吊りのまま空中で待機していたという伝説の裏話も。

見どころ2:シリーズ最高の開幕シークエンスと導火線点火
本作が多くのファンに愛される理由の一つが、シリーズ屈指の緊張感あるオープニング。
暗殺者に追われながらも、任務を遂行しようと奮闘するハナウェイ(ジョシュ・ホロウェイ)の登場から始まり、スタイリッシュな銃撃戦とビルからの落下。
一転してイーサンの脱獄劇に繋がり、監視カメラ越しの演出とBGMの高まりの中でおなじみ「導火線点火」→テーマ曲へとスムーズに流れる構成が最高。もはや芸術的とすら言える流れだ。
「この映画、絶対面白い」と冒頭5分で確信できるオープニングは、シリーズの中でも随一の完成度。
独断と偏見のオススメポイント
何といっても、**「当局は一切関知しない」**というシリーズの名セリフが、これほど強烈な意味を持つ作品はない。
IMFという組織が解体され、政府の支援も武器も情報も失った状態で進む今回のミッションは、「本当に絶望的」な状況の中でこそ輝くイーサン・ハントの凄みが描かれている。
また、本作から登場したジェレミー・レナー演じるブラントが良いスパイスに。過去に関わった“ある事件”を巡るドラマも含め、今後のシリーズへの布石がしっかり仕込まれている。

監督は異色の才能・ブラッド・バード
アニメ映画『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』で知られるブラッド・バードが、これが実写初監督。
そのためか、カメラワークやシークエンス構成が非常にリズミカルかつ「アニメ的ダイナミズム」に溢れている。スパイ映画でありながら、アクション映画としての完成度も高く、まさに娯楽作品としての理想形を実現している。
総評:シリーズが世界級に跳躍した、革命的な第4作
『ゴースト・プロトコル』は、シリーズが「単なるスパイアクション」から「世界規模のアクションエンタメ」へと進化した記念碑的な作品だ。
アクション、ユーモア、スリル、そして何より“IMFチームの絆”が描かれることで、これまで以上にキャラクターに感情移入できる構成になっている。
トム・クルーズの狂気じみたリアルスタントと、ブラッド・バード監督のテンポの良い演出。すべてが奇跡的に噛み合い、シリーズ屈指の傑作となった。
評価:★★★★★(4.7/5)
ジャンル:スパイ/アクション/スリラー
監督:ブラッド・バード
主演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、ポーラ・パットン、サイモン・ペッグ
公開年:2011年
上映時間:133分
次回は、舞台を世界から“国家の裏側”へと深く潜る『ローグ・ネイション』(2015)。
「シンジケート」とは何者か? イーサンの戦いはまだ終わらない——。
ご希望があれば、第5作も続けて仕上げます!
映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ全作をがっつりおさらい!これまでのミッションを完全解説【人物相関図つき】 | FILMAGA(フィルマガ)撮影に使用されたのはヘリコプターやクレーンカメラだったようだが、ヘリコプターの到着が遅れ、トムが宙吊りのまま待つといったアクシデントも起きた。観光客が気づいてビデオ撮影してしまったことが功を奏してCGという噂が否定された
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