今だからこそ知りたい!映画レビュー:『ミッション:インポッシブル2』(2000)

愛と裏切り、そしてウイルス兵器——命を賭けた“選択”の物語。


MISSION:盗まれた殺人ウイルス「キメラ」を回収せよ

IMF(Impossible Mission Force)に下された新たな任務は、殺人ウイルスの奪還。
バイオサイト製薬会社が極秘に開発した、感染からわずか20時間で死に至るウイルス「キメラ」と、その唯一の治療薬「ベレロフォン」。両者と開発者のネコルヴィッチ博士を護衛中、正体不明の組織に襲撃され、すべてが強奪されてしまう。

事件の裏にいるのは、かつてIMFに所属していた男、ショーン・アンブローズ。彼はキメラを悪用し、製薬会社の株価操作と世界規模の混乱を目論んでいた。IMFはエースエージェントの**イーサン・ハント(トム・クルーズ)**を中心にチームを再結成し、キメラの回収と陰謀の阻止に挑む。

今回のミッション連絡ツールは、未来感あふれるサングラス。ミッション確認後、例によって「このメッセージは5秒後に消滅する」と共に、サングラスが爆発するという演出が光る。


登場人物相関図(主要キャスト)

  • イーサン・ハント(トム・クルーズ)
     IMFのトップエージェント。大胆かつ情熱的な一面が際立つ今作では、任務以上に“愛”が彼の決断を左右する。
  • ナイア・ノードフ=ホール(タンディ・ニュートン)
     才色兼備の女泥棒。かつてショーンの恋人だったが、今やイーサンの心を揺さぶる存在となる。
  • ショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)
     IMFを離反した危険な男。目的のためには手段を選ばない冷酷な野心家。
  • ルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)
     イーサンの相棒にしてハッキングのスペシャリスト。シリーズを通しての頼れる存在。

見どころ1:断崖絶壁の命懸けフリークライミング

冒頭のイーサン登場シーンは、今作屈指のインパクトを放つ名場面。
場所はアメリカ・ユタ州のデッドホースポイント州立公園。高さ600mの断崖を、イーサンがロープなしでフリークライミングする姿が、静寂の中に圧倒的な緊張感をもたらす。

実際にこのシーンは、トム・クルーズ自身がスタントマンを使わず、命綱一本で演じた実写スタント。1か月のトレーニングを経て挑んだ撮影で、クルーズは片手でぶら下がったり、背面で岩にぶら下がったりと、常軌を逸したアクションを次々にこなしている。

映画が始まってわずか数分で、「この男、本気だ」と観客に知らしめるシーンだ。


見どころ2:アクション×ラブロマンスの融合

『ミッション:インポッシブル2』の大きな特徴は、シリーズでも異色の濃厚なラブロマンス要素だ。イーサンとナイアの関係は、単なる共闘者の枠を超え、任務と愛情が入り混じる切ないドラマとして描かれる。

中でも前半のカーチェイス・シーンは見逃せない。イーサンが乗るポルシェと、ナイアが乗るアウディが、まるでタンゴを踊るようにくるくると絡み合うように走り抜ける。敵でも味方でもない、出会ったばかりの男女がスピードとリズムの中で互いを試し合うような演出は、単なるアクションを超えた“感情表現”の一部となっている。

その後のラブシーンよりも、よほどロマンチックで濃密。アクションで愛を語る——それがジョン・ウー監督の流儀だ。


監督ジョン・ウーの美学:鳩、スローモーション、そして2丁拳銃

本作の監督は、香港アクション映画の巨匠ジョン・ウー
彼の代名詞ともいえる演出が本作でも全開だ。鳩が舞い、スローモーションで銃弾が交錯し、イーサンが両手に銃を構えてスローモーションで突撃——まさにジョン・ウー・ワールド。

前作よりも“スタイリッシュ”さが格段に増しており、アクション映画でありながら、まるでバレエを見ているような優雅さとダイナミズムが同居している。


総評:賛否を分けた問題作、でも確実に“唯一無二”

『ミッション:インポッシブル2』は、シリーズの中でもとりわけ異色の作品だ。
アクションの派手さ、スタイル優先の映像美、そして恋愛要素の強さ。これらがファンの間で賛否を生んだ一方で、ジョン・ウー監督ならではの美学が詰め込まれた、**“監督の個性が最も色濃く表れた1本”**としても評価されている。

そして何より、イーサン・ハントというキャラクターに“人間らしい弱さ”と“選択の苦しみ”を与えたことは、その後のシリーズにも影響を与える重要なポイントだった。


評価:★★★★☆(4.0/5)
ジャンル:スパイ/アクション/ラブロマンス
監督:ジョン・ウー
主演:トム・クルーズ、タンディ・ニュートン、ダグレイ・スコット
公開年:2000年
上映時間:123分


次回はシリーズの再出発とも言える第3作。
「もっと人間らしく、もっとリアルに」変化していくイーサン・ハント像に注目です!ご希望があれば、第3作の記事もご用意します。

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オススメポイントはエマニュエル・ベアール演じるクレアに密かな恋心を抱いているイーサン。美女に翻弄されるうえに報われないイーサンの姿は母性本能をくすぐって堪らん!!   第2作『ミッション:インポッシブル2』(2

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